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「API」とは2つの異なるシステムを連携させる仕組みのことをいいます。
SNSアカウントを使って色々なアプリにログインする時など、私たちの身の回りでも幅広く活用されています。
この仕組みを自治体でも導入し、民間企業が様々な公共サービスのICT化を出来るような環境を整えるべきでしょうか?
茨城県牛久市の調査によると、同市の住人の16.9%、20代に絞ると28.1%が行政サービスに不満を抱いているそうです。
行政APIを公開すれば、民間のITの専門家の知恵を活かし、ITに親しむ若い世代にも優しい自治体サービスが実現する可能性があります。
例えばFixMyStreetという行政APIを活用した英国のサービスでは、道路の破損や落書きをWebから簡単に報告し、自治体職員に修理してもらうことができます。
2019/4/30時点で、直近の1ヶ月間にこのサイト経由で11,763件の修理が行われたそうです。
国の事例ですが、総務省が2015年から提供する「e-Gov API」を活用し、人事・労務手続きをWebから簡単に行えるようにするSmartHRというスタートアップ企業があります。
同社は創業6年で累計20億円以上の資金を調達し、社員数は100名以上と急成長しています。
このように、行政APIを開放すれば新たなITビジネスが育ち、経済成長につながる可能性があります。
福島県・会津若松市では、2018年より教育・観光・市・病院などの情報を取得できるAPIを公開しています。
同市ではこの「デジタル情報プラットホーム整備事業」を継続して実施しており、2018年の予算には1年で400万円(住民1人あたり33円)が計上されています。
また専門家によると、同市ではAPI公開も含めた様々なICT化のプロジェクトに、国の助成から数億円の規模の税金が投下されているといいます。
この政策に税金を使うと、そのぶん他の予算を減らすか、借金を増やすか、税率をあげる必要があります。
様々な自治体が独自の仕様のAPIを公開すると、横断的なサービス開発がしづらくなってしまいます。
個別の自治体でなく国がまとめて共通仕様のAPIを開発した方が、最終的にサービス開発がしやすい環境を作ることができます。
行政APIの公開に取り組んだ福島県・会津若松市のレポートでは「職員・市民の理解を得る事」の大変さが指摘されています。
同市でも4〜5年にわたって継続して取り組み、ようやく理解されてきたそうです。その間「結果が出ていないなら辞めてしまえ」という声に反論しづらかったとのこと。
中途半端に手をつけて結果が伴わないと、住人としては得るものがまったくないまま多額の税金を浪費することになってしまいます。